てらのバイク旅

日本社会でガッツリ働きながら海外をバイク旅して、体験したことや感じたこと、旅の情報を綴ります。 モンゴルバイク旅の素晴らしさと情報を発信したいと思い、立ち上げました。

名所?難所?ゴビ砂漠ツーリングのススメススメ②(後編)

前回の「ゴビ砂漠ツーリング」の続きです。

 

DAY5   ホンゴル砂丘(ゴビ砂漠)滞在

 今日は眼前の長大な砂丘に遊びにいきます。

昨日のゲートを通過してそのまま砂丘の右奥方向に向かいます。多くの車が同じ方向に向かっており、轍もしっかりしたものがたくさん付いているのでトレースします。

 

比較的すぐ(十数分ぐらい)、車がたくさん停まっており、そして眼前に砂の壁が立ちはだかる核心部に到着します。バイクで行けるノーマルルートのゴールです。

 

ぜひ試しにちょっとだけ砂漠に踏み込んで走ってみてください。

ここならもしスタックしても砂も深くないし最悪人も必ずいるし、なんとでもなります。

ただサイドスタンドは余裕で沈みます。何か下に敷いて停めてね。

 

ここまで来たらハイライト、砂丘の上に登りましょう。

ブーツを脱いで、裸足で上がると気持ちいいらしいです。

ただ、見上げると完全に「山」です。

相当な斜面の長い登り、しかも足元はサラッサラの砂なので重力で下に持っていかれる。

小1時間は覚悟してください。完全に登山です。心折れます。横では砂丘をソリ滑りで遊んでる人たちがいます。下りたくなります。

でもこんな所まで来たのに登らないのは勿体無いのでがんばってください。メンタルの勝負です。

日本で山登りしててよかったと思いました。

 

存分に浮かれましょう

 

そのまま帰るのははっきり言ってキツい(ブルガンより前で体力か時間が尽きる)ので、もう一泊を勧めます。

朝に夕に砂漠の雄大な自然を感じてくださいね。ツーリストゲルの人に声掛けて、ラクダに乗って遊んでもいいかも知れません。

中1泊見ることで天候や体調のバッファにもなります。

ただ日程がタイトな人は途中まで戻って草原キャンプもありです。

 

●砂漠の罠の話

 実はこのホンゴル砂丘、バヤンザグ方面以外からでも来られます。地図を見ると、南ゴビの拠点ダルンザドガドから南周り、ヨリーン・アム渓谷回りや、さらに南の町、セブレイソムからも行けはします。

ただ結論、必ず僕がここで紹介したルートで往復してください。

ヨリーン・アムとブルガンを結ぶ縦のルートはおそらく砂漠走行です。

ビッグKTMを駆る上級者ライダーの方もここでスタック、灼熱の砂漠の中、サイドパニアのフタ外してスコップ代わりにしてやっとバイクを掘り出したらしいです。

サンド経験が豊富でない人はきっと行くも戻るもできないでしょう。

ヨリーン・アム行きたい人はダルンザドガド戻ってからアクセスしてください。

 

ちなみに僕は南部セブレイソムからそこで出会った地元の方に連れてってもらい、本当に「ただの砂漠」を越えるルートでしたが、単独では死んでいたと思います。

よい子はマネしないでね!!!

 

もう一つ、南ゴビ地方に生える、白い低潅木。ダートの草かと思って踏み抜くと100%パンクします。

これの白いの、要注意!

 

DAY6   ホンゴル砂丘〜ダルンザドガド周辺

 ここから復路です。半日で中継地ブルガン、そこからさらに半日ダートを走り抜けばダルンザドガド。はっきり言ってキツいです。

日程に余裕があるなら途中ブルガン、バヤンザグ周辺で1泊、進みたければダルンザドガドへの道の途中で野営してください。

ゴビの鉄則、「焦らず、ゆっくり」で。

 

DAY7   ダルンザドガド〜Tsagaan Suvarga (White Stupa) 

 時間に余裕がある人は、ダルンザドガド経由で南ゴビの他の名所、Tsagaan Suvarga (White Stupa) やYolyn Amに行っても良いと思います。

ただ、ここらで野営疲れもあるでしょうから、ダルンザドガドで往路の宿に戻って体を休めるのが一番のおすすめかも知れません。

ここらは柔軟に組み合わせてみてください。

予備日的意味も含め、ここで1日カウントとします。

 

DAY8   ダルンザドガド周辺〜マンダルゴビ周辺

 ダルンザドガドから1日でウランバートルまで戻るのは小、中型バイクでは厳しいので、ここでも中1日みます。

僕はマンダルゴビの少し上(確かドゥンドゴビ辺り?)の町からも道路からも少し離れた辺り、遠目に文明感じるぐらいの場所で居心地良さそう場所を見繕って野営しました。

モンゴルのカントリーサイドは治安的リスクを感じる雰囲気は少なくとも僕は全然感じなかったので、注意していたのは地形にハマらないかぐらいでした。

あとゲルが近くにある場合、夜になると番犬たちが突然猛り始めるので、中途半端な射程圏内だとそれが一番危険かも知れません(面通し済みの時除く)。

モンゴルの犬、マジでこええから。

 

DAY9   ウランバートル帰着

 北上していくと次第に気温も涼しくなり、起伏があり、草原主体の中央モンゴルらしい景色に変化して「戻ってきた」という感覚になります。そうなるとゴールはもう目前です。

諸々余裕がある方は、ウランバートルの守り神、ボグド・ハーン山周辺に寄り道などしてもいいと思います。

南のゾーン・モドには博物館やチベット仏教寺院、ハイキングもできるみたいです。東のナライハ周辺には草原や巨大チンギスハーン、開発はされていますがツアー等で非常に有名なテレルジ国立公園もあったりします。

 

とにかく、ここで長く過酷だった南ゴビ方面の旅はおしまいです。

お疲れ様でした。

 

 

まとめ

中央モンゴルの水と緑豊かで雄大、穏やかなモンゴルとはひと味違う、広大で過酷、機械や体調面でのトラブルリスクも高い方面でしたが、他では味わえない魅力を持った地域というのもまた事実です。

僕はゴビの旅中は大変だったことも多かったですが、過酷だったからこそ、草原のモンゴルとは全く違う世界を全身で体験でき、多くの出会いや経験も得られ、行ってよかったと心から思っています。

我こそは別班であるというアナタや、バイクで砂漠を旅する経験をしてみたいアナタ、そうでなくてもゴビ砂漠という響きに琴線が触れるアナタ、ぜひよく準備して検討してみてください。

 

よい旅を。

名所?難所?ゴビ砂漠ツーリングのススメ①

モンゴルでかなり人気の行き先として、ゴビ砂漠があるのではないでしょうか。

中国との国境地帯にかけて広がる秘境感のある砂漠、かつて恐竜が闊歩していた切り立った崖の大地(実際有数の化石の出土地)など、旅欲をそそる神秘的な場所がたくさんあるほか、某ドラマの舞台にもなっており、「一度N木Y介になってみたい!」という人も多いハズです!

実際モンゴルのツアーでは相当根強い人気の場所のようで、他のエリアと比較しても圧倒的にツアーの方々が多かったです。

また、バイク乗り的には「砂漠を走る体験」ということに魅力を覚える方もいるのでは。

 

今回は

「ゴビ砂漠方面ツーリングは実際の所どうなの?」

「楽しい?キツい?一人で行けるの?」

という辺りを考察し、細かい情報も出しながらまとめていきたいと思います。

 

まず結論

難易度★★★☆☆(ツーリング自体は道を選べば高度な技術なく可能だが、特有の困難さもある)

オススメ度★★★☆☆(万人に勧められる行き先ではないけど、きちんと動機がある人はかなり満足度高い)

 

いきなりですが「初めてのモンゴルツーリング、とりあえず有名どころだし行ってみたい」

という人には正直そこまでお勧めしないです。

理由は

①目的地までウランバートルからかなり遠い(直線かつ時間を取られる)

②モンゴルのイメージである草原地帯ではなくなっていく(荒涼とした礫砂漠地帯に入っていく)

 ※と言っても草原はかなりあります。道を選べばむしろコンパクトな日程で行けるモンゴル草原ツーリングにも。

③暑い(シンプルにきつい、それ以外にも…)

 

後述しますが、この3つが絡み合って見えないアブナいシナジー効果が表れます。

「キツい」「トラブル多い」「草原モンゴルちょっと少なめ(ロングの場合)」のコースです。

 

それでも気になるアナタへ、具体的にどんなツーリングになるか。

パターン①「ゴビ砂漠核心部、南モンゴルの名所を巡るロングツーリング」(所要 10日以上)

パターン②ウランバートルから近く、比較的コンパクトに周れるオフロードツーリング(所要 5日程度から)

 

今回は主にパターン①を具体的に解説していきます(途中、パターン②も触ります)。

①は、モンゴルをツアーで訪れる方の結構な割合の方が選択される、「モンゴルの魅力、体験たくさん詰め込んだ旅先」パターンとも言えます。バイクであってもなくてもゴビ地方の本命コースです。

目的地(マストと言える目的地→◎ ツアー等でもよく目的地になる名所→◯)

◎ホンゴル砂丘(ドラマロケ地にもなった、奥地に広がる砂漠)

◎バヤンザグ(同じくロケ地にもなった、赤い断崖が広がるダイナミックな土地)

◯ツァガーン・スブルガ(同じく◯◯キャニオン系の断崖)

◯ヨーリン・アム(様々な動物も住む渓谷)

◯ヴァガ・ガザリンチュール(草原に現れる巨大な岩山、眺めても、登っても)

 

こうしてパッと、明確な魅力を持った名所がいくつも挙がるのがゴビ方面の特徴です。

個人でも泊まれるゲルの宿もたくさんあるし、ラクダの群れや運がよければ野生動物にも会えます。

分かりやすく言うと「濃い」モンゴル旅の方面です。

 

 

具体的なプラン概要(ウランバートル滞在部分は省略)

 

DAY1   ウランバートルから舗装路で南下し、マンダルゴビ(中継の主な町1つ目)付近へ

 チンギスハーン国際空港の辺りを通り、まずは肩慣らしで舗装路で南下します。

南西方向の道を取ればいきなりダートもシバけますが、これから待ち受けるロングのモンゴル開幕でハードモードにする必要は全くありませんてかいろんなリソースの配分間違いです。(除く変態)

※パターン②は青線で南下です。

 

マンダルゴビで宿を見繕ってもいいし、どこか途中で舗装路から脇道にそれ、居心地よさそうな場所で初野営もいいと思います。

ちなみに野営のコツは他の項でも書いていますが

・舗装路から多少離れる(すぐそばは流石にキャンプ気分にならない)

・停まってみて、異様に虫が多いなど明確なデメリットがない場所にテント張る

・集落やゲルがギリ見えるぐらいの場所も案外いい場所(物資の調達、文明の安心感、コミュニケーションの機会になる、ただし挨拶などこちらからオープンになって)

辺りです。

 

僕は「Baga Gazariin Chuluu」付近まで行って野営しました。正確には遠すぎてその手前の草原でしたけど。

ダートが地味に長い

ちなみに上述の「パターン②(5日程度の短期ツーリング)」だと、1枚目の地図青線「ダート」のルートで南西方面に下り、「Baga Gazariin Chuluu」を回って舗装路を北上して戻るというルートだと、ウランバートル出発後すぐにダートをしばきまくれます。

ショートの人にはもしかしたらモンゴルツーリングの最適解かも?

https://maps.app.goo.gl/c1JzNQWYE2CrY3ew9?g_st=ic

 

◯モンゴル食堂の話

モンゴルではぜひモンゴル料理の食堂を楽しんでください。

見た目全然映えないけど、食うとマジで美味い。

肉の味が日本や他国で食うのと違って濃厚で、肉だけ食うために渡航したいぐらい。

ただ難関なのが、まあまあ外から分かりづらい。写真とか出てればいいけど、キリル文字だけで何書いてるか全く読めかったりする看板の店しかない町とか割と平気で存在する。

 

Цайны газар (ツァイニー・ガザール):食堂・カフェ とか書いてあったりします。

例えばこれ。全く分からん。

語尾のAPみたいな文字を目印にしてました。他にもゴアンズ(食堂)とかいう表記もあるらしい。

 

DAY2  マンダルゴビ周辺〜ダルンザドガド、町で泊

南ゴビ地方の拠点となり、一番大きな町、ダルンザドガドに入ります。

辿り着くまでただ舗装路をひたすら南下するだけなのですが、ここで上述したゴビの罠その一が発動します。

 

「とにかく慌てずゆとりを持って走ること」が大事です。

 

ひたすら長く、道もまっすぐ。周りの車も飛ばしてる。

けどここで焦ってアクセルを捻り倒すと、バイク壊れます。

機械は熱に弱いです。何時間もレブ周辺の高回転をキープし続ける走りを、しかも気温の高いゴビ地方で行うと、例えば燃料系のゴムが切れるなど、目に見えない部分が壊れます。僕は複数要因ありましたが、何度もエンジン止まり、牽引してもらったりしながら運良くなんとか走ることができましたが、今思えば反省点いっぱいです。

町の雑貨屋で買った中華プラグが粗悪で後々問題になったこともありました。

 

途中で昼飯休憩してしっかり体もバイクもクーリングしてから進んでください。

ダルンザドガドでは↓の宿がお手頃快適で良かったです。ただし入口の門閉まっていて分かりづらいので注意。

 

Chimgee's Guesthouse

maps.app.goo.gl

 

シャワー浴びて洗濯して、明日からのゴビツー本番に備えてください。

 

DAY3   バヤンザグへ

 ようやく本番に入ります。現地読みで「バインザグ」、あの日曜劇場のキャッチの画になった場所です。脳内でテーマBGM再生されること間違いなし。

「あの」BGMつけたい

今日からはダートです。北西の方角に数時間進みます。途中で轍の分岐があり、正しい方角に行けば直接バヤンザグに到着できますが、自信がなければ一度「Bulgan」の町まで行ってしまっても良いです。

この町はバヤンザグおよび大ボスのゴビ砂漠「ホンゴル砂丘」の拠点となる補給地です。

ここの売店とガソリンスタンドは必ず寄ってください。

ツアーのお客さんもたくさんいて、皆ここで食料等買い込みます。お話して仲良くなれるかも?

 

バヤンザグはバイクを降りて歩きで観光です。

観光したら明日に備え、ブルガンの町との動線を意識して寝てください。(僕はツアーの方々と仲良くなってバヤンザグの近くで一緒にキャンプしました。ご飯ご馳走になったりシャワーチャンスもゲットしたり、いい時間感謝!!)

 

DAY4   ホンゴル砂丘(ゴビ砂漠)へGo!

 気持ちのよい朝を迎え、昨日のブルガンの町で補給を済ませたら、いよいよこの旅のメイン目的地、ホンゴル砂丘、いわゆるゴビ砂漠の核心部へ向かいます。

 

当然ダート、結構長いです。

どこまでも続く青空と白い雲、360度の草原の中をひた走り、走り疲れたらその只中で休む。

バイクで走るって疲れるんだというのも新鮮、そして心地よい感覚。そこも含め、まるで馬旅をしている遊牧民のような気分になります。空間だけでなく、時間すらも旅している感覚。

バイク乗りでよかった。絶対そう感じると思います。

 

 

地図(Maps me)を確認しながら一度山道にも入ります。

谷あいでは、野生のガゼルと一緒に走れるかも?

 

峠を越えると景色は荒涼としたゴビ(礫砂漠)へと変化していきます。

そして程なく地平線の代わりに長大な砂漠が山脈のように見えてきます。

 

ゲルやラクダが増えてきます。この辺りのゲルの多くは宿泊することができます。

 

砂っぽくなってくる足元に気を付けながら、砂丘の右奥方面に進むイメージでもう少し走りましょう。

砂地を走る時は、多少速度を乗せて2〜3速、アクセル一定で、フロント荷重を軽くに保ってくださいね。

 

ゲルがまばらに建つ地帯を右奥方面に進んでいくとチェックポストのようなゲートがあります。

ツアーの車はそこで入場料のようなものを払っていた気もしますが、単独のバイクはスルーで大丈夫です。

 

ゲートに隣接して貴重な売店兼カフェがあるので、バイクを停めて休みましょう。

お疲れ様でした。

 

夜は周辺のツーリストゲルに泊まってシャワーとご飯にありついてもよし(僕は砂漠で命を救われた?人のゲルにお世話になりました)、テントを張るなら近くのゲルにひと言断りを入れてから。

 

ここではあまり写真は載せません。ぜひあの絶景をご自身の目で確かめてください。

 

 

残りの旅程と潜む罠は、後編②でお伝えします(長くなったので)。

モンゴルツーリングノススメ

最近SNSでも割と海外のフィールドを走る人を目にすることも増えました。

そういった中で、モンゴルをバイクで走ることに興味はある、という人も結構いるのではないでしょうか。

今回は、

「モンゴルツーリングって、結局どんな体験ができるの?」

「見えないリスクが怖いけど、その辺りどうなの?」

という辺りを改めて掘り下げていこうと思います。

 

 

以前分かりやすく

「北海道のさらに先のステージ」

みたいに表現したこともありました。

 

ただひと口に「北海道(ツーリング)」と言ってもその人の体験に依る部分が大きいと思うので、ちょっと回りくどい例え話から掘ってみます。

 

『liberty』と『freedom』

 

ガンダムの話じゃありません。両方とも日本語では『自由』という意味です。

でもこの2つの『自由』、枠が違う言葉です。

『liberty』は『とある規範、枠組の中での自由』、『freedom』は『規範、枠組の外側』という意味です。

 

北海道を例えにすると、「2週間の夏休みだ。北海道を自由にツーリングするぞ。どこ行って何食ってどこでキャンプするも自由だ!」、これは「日本の法律、施設の決まりやマナーの中で自由に過ごすことを謳歌する」のでliberty寄りです(あくまで通常の「キャンプツーリング」の場合)。

『freedom』は、知床の羅臼岳で登山道を離れて野営するような状態です。そこでは「キャンプ場のルール」も「定められた登山道」もなく、全て自分の判断で道を決め、生活することができます。一方、ヒグマと遭遇しても、逃げ込めるセーフティネットはありません。

 

なんだか脅すような話になっちゃいました。

でもまずは、正しくリスク面も解った上で検討してほしいのです。

 

お察しの通り、モンゴルをバイクで走るのはひと言で言うと『freedom』の体験です。

もちろんモンゴルにもマナーや道交法(スピード違反も)などはありますが、ひとたび人里離れた草原に出れば全て自己責任。標高から山の天気のように一気に崩れる天候に対処できなければ、それだけで落雷や低体温症などの危険に晒されたり、人里離れた泥濘地で独りスタックすれば抜け出せなかったり、リスクを挙げれば枚挙にいとまがありません。

なので最低限の押さえどころの知識、対策はあった方が安心です(僕は体で学びましたが、推奨はしません)。

 

でも代わりに、日本にいる限りは絶対に味わえない「どこを走って、どこで休み、どこで寝ても自由」という感覚、道路をはじめ何にも縛られない真のオープンワールド、まさに 『freedom』を、それも日程的、コスト的にもある程度気軽に味わえる場所って、地球広しといえどそう沢山はないはずです。

 

モンゴルをバイクで走るということは、その「真の意味の自由」を理屈抜きで体で体験するということです。山でバリエーションルートやるよりもある意味で上位、バックカントリーならそれに近いかも?でもきっともっと自由。他にこれと同等以上の自由、解放感を体験できること、普通の生活の中じゃ思いつきません。上いけるとすればクレイジージャーニー的、「本物」の冒険家。

 

人生、社会のレールから外れることなく、それが体験できる、本当に貴重な場なんだと思います。ただ広大なダートをツーリングするという以上の意味を持っています。とにかく面的広さと余白が半端じゃない。

 

そこにあるのはただ地平線が分かつのみの、草原の緑と空の青。

ヘルメットの中にまで野生のハーブの香りが漂い、待ち受けるは太古の昔より変わらぬ営みの遊牧民と数々の生き物たち。

決して観光地化されていない、今となってはこの地球上で稀有な場所を、自由に旅し、駆け抜けられる。

 

もちろん人間の作った文明シェルターから出てフィールドで生活する時間があるので、誰でもどうぞ!とは言いません。

ただ、行く場所を選べば、リスクヘッジの度合いは変えられます。

ちなみに僕が以前から提案しているルートは、基本的には舗装路&人里をベースにすぐ町にも行けるようにしていて(自分がチキンなので)、いきなり誰もいない荒野のど真ん中を走り抜けなければいけないルートにはしていません。

 

必要なこと

◯最低限の野外活動の知識

①暑さ、寒さそれぞれへの備え→装備品の吟味

②体力・気力の管理および天候急変リスクへの対応→早めの時間(遅くても18時頃まで)に活動を終える

③地形リスクへのアンテナを高く持ち、無謀(not冒険)に突っ込まない、まずは「ちゃんと通れる道」(しっかりした轍など)を選ぶ

④水分、非常食を多めに持つ 等

 

◯簡単なバイクの知識

ベストは

①パンク修理

②エアクリ、プラグ外して清掃・交換

③折れたレバー、ステップ等への対応(代わりになる日本の100均等で売ってるロックプライヤー持参等)

以上3点には少なくとも対応できること

 ※または、それの代替案(僕は「代替案」使って走りました)

 

上記があればかなり安心できますが、不測の事態なんて他にいくらでも想定できます。

僕もゴビの熱にやられてエンジン停止したりバッテリー上がったりチェーン外れたり砂に埋まったり笑、色々ありました。

 

根本は「ここから先はヤバい」と感じるアンテナをもつこと、具体的には「ここ行って万が一あったら誰にも助けてもらえない」という観点で行くかどうか決める。

その上で、「日程、心、あらゆる意味で余裕をもつこと」、最後に「コミュ力」、

この辺りが何よりも大事だと、通算1ヶ月のモンゴルバイク旅で感じました。

 

ここまで読んでそれでも気になるという方はきっと有資格者です。

ぜひ、検討してみてください。

 

次回以降、細かな情報また発信していきます。

良い旅を!

旅人の人生

2026年7月29日。明日30日出発の航空券をキャンセルした。

 

キルギスから、タジキスタンのパミール高原(パミールハイウェイとも)、そしてアフガニスタン〜パキスタン上フンザの文化圏であるワハン回廊をバイクでひとり旅し、高原のキルギス族やワヒ族の村や住居を訪ねる予定だった。

 

1年前の8月、スイス〜イタリアで腰を痛めた。椎間板等異常なく、ただの「ぎっくり腰」。

それが1年間、脈動を打つように良くも悪くもなりながら、結局治らなかった。

体と元気が自慢だったのに、重いものも全く持てない、バイクにもほとんど乗れない1年間だった。

かなり直前までは旅行に行ける程度には軽くなってくれることを期待していたが、直前での調子は最悪。これでバイクを16日間、未舗装路を走り続けたら、体に本当にとどめをさしてしまうかもしれない。

 

後から思い返した時、「旅ができなかった後悔」より「腰が治らなくなってしまった後悔」の方が遥かに恐ろしかった。

 

実は今回の旅は、直前まで正直そこまで乗り気ではなかった。

フルスロットルでやれるひとり旅人生もそろそろ節目を迎えそうと、どこかへ行こうとは決めたものの、行きたい場所の決定打が一向に降りてこなかった。

なので前日になり、航空券のキャンセルの電話を入れた後も、子供たちに語ってやれないということ以外、そこまで大きなショックはなかった。

 

正直、これまで「もう旅はいいかな」と思っていた自分がいた。

行きたい場所、体験したいこと、思いつくことはほとんどできてしまった。十分すぎる程に。

本当に途轍もない幸運に恵まれた旅人生を、短い時間の中で送ることができた。

正直、悔いはない。はっきり言って死んだって構わない。

 

旅の呪いは解け、心の炎は鎮まり、けれども「ああ、旅人としての人生はもう終わってしまったのか」と、心に穴が空いたような思いもあった。

 

けれど夜、家で何の気なしにインスタをスワイプしてたら、見知らぬ外人が旅するワハン回廊の写真が出てきた。

 

ユーラシア大陸の奥地。時として道も通っていない、物質に乏しい、しかし白く輝く峰々と青く澄んだ湖の懐で暮らす、山の民や子供たち。

 

「この中でこの人たちと交流できたら。」

 

ここにきて、炭化した心に火種が燻るのを感じた。

 

もう一度、この旅に出たい。

 

「まだ生きていい」と言われているような気持ちにすらなる、心の変化。

SNSだろとバカにしてくれ、それでもいい。どんなきっかけで人生変わるかなんてわからないんだから。

この旅人人生だって、最初は雑誌の「カトマンズ・ダルバート特集」からだった。

 

来年までに、絶対この腰治してやる。

この夏はそれに捧げる、何でもする。

 

見てろよパミール、タジキスタン。

旅の女神よ、首洗って待ってろや。

 

迷うことは旅すること

道迷いからのトラブルで肝を冷やしながらも何とか轍のトレースに復帰し、フブスグル湖に向けて北上。当座の目標は、フブスグルの玄関口、ムルンという町。

 

前回の記事でも触れたが、フブスグル湖は国境越えてすぐそばのロシア、バイカル湖と同じ古代湖。バイカル湖の妹とも言われているそうな。バイカル湖は水深、貯水量、透明度、成立の古さなど世界一の湖だが、フブスグル湖も同様の特徴を有しているそう。

そして付近には永久凍土とタイガの森で、トナカイ使いの遊牧民「ツァータン」が暮らしているという。

 

ともかく北だ。アクセルを開けていると、緩やかな草原地帯の丘陵が、少しずつ大きな山塊へと変容していく。

最初は幾度かMaps meで正しい轍かどうかを確かめながら進んでいたが、その内「どうでもいい」という気分になってきた。

方角さえ概ね合っていれば大丈夫だろう。そして何よりもここは文明社会から離れた大陸の只中。「機器に頼らず進みたい」という思いが勝った。

 

 

そして、盛大に道を間違えた。。

 

二又に分かれている轍の右側を進んだのだが、進むほどに道は頼りなく、次第に山の中に吸い込まれていく。

いつの間にか、道だったものは山中の険しく狭い森の中、かろうじて残る轍のようなものに変わっている。

高低差と森の深さに背筋に嫌なものを感じる。

例えるなら日本のマイナー林道のような、安全も行き先も保証されていないような頼りない道に心拍数が上がる。

努めて冷静に、着実につづら折れの森の消えかかった轍を下っていく。

 

そして、何とか無事に山道は抜け、平地の轍に復帰することができた。

だが、Maps meを確認しても既に自分のいる一帯は道として表示されている場所ではなくなっていた。

 

さて、どうしたものか。

道は東西に思える方面に延びている。

 

当てずっぽうで進みながら、北の方に延びている道を進むが、程なく行き当たってしまう。

来た道を折り返しながら当てどなくしばらくさまよう時間が続く。

山道ほどの緊張感はなかったが、特段妙案も出てこない。なにぶんここは、地図にない場所なのだ。

そんな風に見当もなくしばらく走っていると、時折遊牧民のゲルが見えてくる。

今いる人里離れた山あいの草原地帯は、見方を変えれば家畜の餌が豊富にある遊牧好適地。岩陵、泥濘、砂礫、森林などは別として、一定の距離を置いて遊牧民が住んでいるのは道理だ。

そして遊牧民といえど、完全に文明と隔絶された存在ではない。頻度はともかく、町に出ることもあるだろう。

 

見えてきたゲルにお邪魔みてみる。「サンバェノー!(こんにちは)」

挨拶をすると番犬はトーンダウンし、代わりに家主が現れる。

「ムルンの町はどっち?」

「ずーっと向こうにある山を、ぐるっと右から奥に回り込んでいけばムルンだよ」

こんな時は翻訳アプリなども使わず、身振りを交えて会話する。全然問題なく通じるものだ。

遠くの山を目標物にする、スケール感の大きな話も心地よい。

 

お礼を伝え、ゲルを後にしようとすると、「お茶でも飲んでいけ」

と勧められる。

遊牧民は客人を必ずもてなそうとしてくれる。地球の歩き方にはそういう文化だと書かれていたが、ここまで肌で感じることになるとは。

 

お言葉に甘えてゲルにお邪魔する。

お父さんは働きに出ているのか、若く美しいお母さんとこれまた可愛らしい小さな娘たちが住んでいる。

この旅ですっかり飲み慣れたモンゴルならではの乳茶をいただいていると、「ご飯を食べますか?」と。

道を伺っただけなのにさすがにそれは申し訳なさ過ぎる(きっと手作りで用意し始めてしまうだろう)ので、そこは丁重にお断りする。

 

しばしの休息の後、僅かに後ろ髪引かれる思いもありつつ遊牧民の母子にお礼を述べて別れ、教えてもらった方角にバイクを進める。

穏やかな日差しと風に包まれた、良い時間だった。

 

 

沈没違い

テルヒン・ツァガーン湖で一晩明かし、進路を北に取ることに。

北に向かえばモンゴル最大の湖であり近くにあるバイカル湖と同種の古代湖、フブスグル湖に向かうことができる。そこを次の目的地としてみようと思う。

 

紙の地図で確認すると主要道路から一級下がった道、未舗装路となる道を行くことになる。ちなみにこのような道はgoogle mapでは表示されないが、Maps meはトレイル系に強く、表示される。

 

ちなみに今回途中からMaps meをきちんと使った。モンゴルでは道に残る轍が幹線道路と同じ意味を持つのだが、間違った薄い轍などをトレースしてしまうとどんどん方角がずれてしまい、広大な国土では取り返しがつかなくなる。命までは取られないが、期限までに戻らないといけない旅では文明の利器に頼った方が、結果的に良い旅になることもある。

それだけじゃないというのも後述します。

 

準備を整えるために、一度湖の西にある村に行き、給油をする。

湖と村道沿いに川が流れている。

ダート道に入る。

北に向かうためには道の北側に流れている川を越えるしかないようだ。

橋は見当たらない。どこか渡渉ポイントがないか探す。

水深、川幅からこの辺りだろうと見当をつける。

インドのラダックでも渡渉はよくあった。行けるハズ。

 

ザッバァーン

 

この旅で初めて、やってしまった。

川の中での転倒、滑る足元に難儀しながらバイクを起こす。

浅かったのと、即エンジンを停止したのでマシンは何ともなかったことがとにかく良かった…

バッグの中にも水が入り込み荷物もいくらか濡れてしまったが、奇跡的に寝袋や電子機器等、致命傷になるものは全て無事だった。

 

川から上がり、落ち着いて分析してみる。

これだけ滑るということは、ここは普段から人が渡ってならされている「道」ではない。

周囲を観察しても轍もない。周囲は牛などが闊歩しているのみ、道といえるような場所ではない。ただのガレたり草が茂っていたりする河岸だ。

経験不足だ。よく考えれば山でも同じことが言えるのに。そして自分の技術ならこのぐらいなら走破できるという過信も、判断を鈍らせた。山でやれば、最悪死ぬ。

 

これは、この旅でこの後の大事件にも繋がる、とても重要なポイントとなる。

 

その後、落ち着いて引いて見渡し、正しい渡渉ポイントを見つけ、川を渡る。

猛省。。気を引き締め直して進む。

復活、旅の再開

3日目、起きると体もかなり楽になっている。

 

いつものカフェで朝食で摂り、荷物をまとめてチェックアウトする。1泊辺り20ドル、2023年時点なので3千円以内でこれだけ快適に過ごさせてもらえるのなら安い。

名残惜しいし本当はもっとちゃんと「沈没」というものもしてみたかったのだが、前へ進み時だ。

久しぶりにバイクに戻り、荷物を括り付けていく。荷物と共に気持ちも引き締まる。

さて、行こう。アクセルを開け、快適だったFairfield Guesthouseを景色として背中に流していく。またここには泊まりたい。

 

さて、元々とりあえずの目標にしていた、テルヒン・ツァガーン湖に向かおうか。

共産主義的なと感じる(訪れたことがないから分からないが)安普請のコンクリート造り、典型的なモンゴルの町であるツェツェルレグ市内のスーパーでパンと食料を買い込み、ガソリンを補給して出発。

とにかく西へ。

 

舗装された道を穏やかな森林地帯を眺めながら進む。短期間のモンゴルであればこのような舗装路を通るのは勿体無いが、ある程度の期間を確保して紙の地図でのみ見た未知の場所に「進む」旅では距離を稼ぐことも一つである。そう考えると舗装路を進めることは贅沢なことだったのかも知れない。

 

数時間も進まない内に、景色に看板やツーリスト向けのゲルなど、人工物が現れてきた。右手に大きな湖。これがテルヒン・ツァガーン湖だ。

この旅で幾人とも会話して分かったが、モンゴル人は国内旅行が大好きで、このテルヒン・ツァガーンも格好の観光先となっているらしい。

なるほど自然の中にあって、ここだけギラギラしている。

自分としては別に観光地で宿泊する必要はないが、目的地にしていたこと、時間的にもちょうど良いこと、湖畔には静かで野営に好適な場所も全然見つかることから今日はここにテントを張ることに。

 

余談だが、ステラリッジのエクストラレインフライを選ぶと、山岳軽量テントに煮炊きも出来る余裕の前室が。山もバイク旅もやる人には全力で勧めたい。

 

はしゃぐ程の場所ではないかも知れないが、当然翌朝も清々しい。

ちなみに野営の際に用を足す際は、当然大自然の中ということになる。

遊牧民が定住しているゲルでは専用の「便所」を設けているが、非常に広大な自然の中。人ひとりの営みがどれほどの規模となろうか。(もちろん観光地化され、多くの人が足を運ぶ場所になれば話は変わる)

得も言えぬ、非常に爽快な気分になるので、誰もいない大自然に踏み出せた特権としてぜひ一度。

 

さて、これからどうするか。

地図でざっくりと計画していた際、味戸さんからここから北上する道が良いらしいと伺った。

どれ、一つ向かってみるか。

 

…この時はまだこの先で待ち受けるモンゴルの洗礼を知る由もない。

 

続く